成年後見制度に関わる民法改正のポイントは

2016-11-30-18-43-13

ちょっと長い名前なのですが「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が、今年(平成28年)の10月13日に施行されました。

成年後見制度に関わる今回の法改正のポイントは大きくまとめると、

  1. 後見人(成年後見人)が家裁の審判により、本人(成年被後見人)あて郵便物の転送を受けられるようになったこと(民法860条の2)と、後見人が本人あて郵便物を開いて見る権限が明文化されたこと(民法860条の3)
  2. 後見人が本人の死亡後に行える死後事務の内容と手続が明文化されたこと(民法873条の2)

の2つです。

法務省民事局のページにQ&A形式で詳しく解説されています。

【法務省】成年後見の事務に係る法改正について | 日本行政書士会連合会

法令

民法(明治二十九年法律第八十九号)

(成年後見人による郵便物等の管理)

第八百六十条の二 家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第三項 に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。

2 前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。

3 家庭裁判所は、第一項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。

4 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。

第八百六十条の三 成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。

2 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。

3 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。

(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)

第八百七十三条の二 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)