成年後見制度と行政書士の関わり

認知症や知的障害などによって自分の財産を管理できなくなったり、日常生活が難しくなったりした人たちを社会で支え合う仕組みの一つが成年後見制度ですが、まだ十分に活かされていないという実態があり、平成28年(2016年)5月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」というものが施行されました。

成年後見制度は「本人の意思決定を尊重すること」「本人に今ある能力を活かすこと」「障害のあるなしに関係なく誰もが等しく生きられる社会を目指すこと」などの理念のもとで進められてきたのですが、実態としては預貯金解約や介護保険契約の必要に迫られないと利用に至らないというケースが多いようです。

行政書士が成年後見制度に関わること

行政書士は法律家ではありませんから、後見等(成年後見、保佐、補助)の相談や申立の代理はできませんが、後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)になることについては、欠格事由(未成年者や破産者など)に該当する場合を除いては特別な資格がありません。実際に私も裁判所から成年後見人に選任されて活動しています。

行政書士会の連合会では、成年後見制度に取り組む専門の団体として平成22年8月に「コスモス成年後見サポートセンター」を作り、会員に対する研修や、後見人等として活動する会員が不正な活動をしないよう管理を行っています。

後見人等になって欲しい人がある場合には

後見等の開始を裁判所へ申し立てる時に、誰が後見人等になって欲しいか希望を伝えることとなります(ただし必ず希望のとおりになる訳ではありません)。

当事務所の場合には、申立の相談は弁護士と行います(私も同席します。相談料は初回無料)。また申立の代理が必要であれば、その弁護士に依頼することもできます。

私は後見人等として活動するにあたり、本人の財産を適切に管理するのは前提として、「本人らしい」生活を保障することに努めたいと考えています。

本人に今ある能力の中で、その人自身が自己決定できるように環境を調え、その過程をじっくりと支える、そのような活動に心がけています。